檜垣智也 アクースマティック作品による 音の個展




檜垣智也 アクースマティック作品による 音の個展

■2016年1月29日(金) 京都芸術センター
18:30開場 19:00開演
前売:2,000円、当日:2,500円、学生:1,500円



主催:engine music
助成:公益財団法人 野村財団
共催:京都芸術センター

お問い合わせ・ご予約:090-8208-9291(川崎) ks-koji (a) nifty.com





■「サロメの娘」アクースモニウムをともなう映像作品(2015) 監督=七里 圭

のんきな姉さん」などの劇映画で知られる七里 圭監督は、現在、映画を音から作り始めるという実験的な創作に取り組んでいます。その第2弾となるのが「サロメの娘」であり、2015年3月に最初のバージョンが東京で公開され、そして、同年8月には改訂版がフランスの音楽祭FUTURAにて上演され好評を博しました。今回上演される「サロメの娘」は、複数のスクリーンを使用したアナログな手法による3D映像に、檜垣智也の演奏するアクースモニウムによるリアルタイムな音楽の要素が付加されます。本作は七里監督の提唱する「見せ物」としての映画芸術、その起源に肉薄する作品であると言えるでしょう。





■「囚われた女」秋山邦晴のテープレコーダーのための詩による(2013)

前衛芸術集団〈実験工房〉の詩人・秋山邦晴が1953年に発表した「囚われた女」(所在不明)は、日本におけるインターメディアの嚆矢と言える詩と音楽を越境した記念碑的な作品でした。秋山の「囚われた女」は詩のみが現存しており、これをもとに檜垣智也が再創作したのが「囚われた女~秋山邦晴のテープレコーダーのための詩による」です。ステレオ音声を主体とした本作は、録音再生技術を用いて電子音楽の礎を築いた、先人たちの眼差しを再確認することを目的のひとつとして制作されました。なお、本作は第18回 文化庁 メディア芸術祭 アート部門 審査委員会推薦作品として選出されています。





■「入院患者たち」詩、音、映像によるインスタレーション(2016)
 詩=松井 茂・山本一彰、映像=七里 圭


詩人の松井 茂は、インターネットを介した電子メールというメディアのための詩「量子詩」や、「録音・再生・中継・複製・変換・編集に関する技術と現象」を主題とした「具体詩」や「音声詩」などの作品によって知られています。本個展では、松井による新作の詩に対して、檜垣智也の作曲する音楽、そして、七里 圭による映像のコラボレーションによって生まれる新作インスタレーションを「入院患者たち」として発表する予定です。同時代に生きるわたしたちにとって不可避である政治的な問題を、鋭く投げ掛ける松井の詩は京都芸術センターにどのような空間を現出させるのかご期待ください。





檜垣智也 Tomonari Higaki 作曲・アクースモニウム演奏
1974年生まれ。愛知県立芸術大学大学院修了。フランス留学中にアクースマティックの作曲と演奏で注目を浴びる。2003 年に日本へアクースモニウムを紹介し、記録された音響とその空間表現をテーマに活動を展開。フランス国営視聴覚研究所音楽研究グループなど欧州を中心に招待公演多数。代表作に「豊饒の海」(2009-11)、「囚われた女~秋山邦晴のテープレコーダーのための詩による」(2013)は第18回 文化庁 メディア芸術祭 アート部門で審査委員会推薦作品に選出。九州大学大学院、愛知県立芸術大学大学院、大阪芸術大学ほか講師。現代音楽プロダクションMOTUS(パリ)と国際アクースマティック芸術祭FUTURA の常勤演奏家および講師。http://www.musicircus.net



七里 圭 Kei Shichiri 映画監督
1967年生まれ。高校時代の8ミリ映画『時をかける症状』(84)が、第8回ぴあフィルムフェスティバル大島渚の推薦により入選。早大在学中から映画の現場で働き始め、約十年間の助監督経験の後に、監督及び脚本家となる。2004年、山椒大夫をモチーフにした山本直樹原作の『のんきな姉さん』、短編『夢で逢えたら』で、劇場デビュー。その後、渡辺淳一原作『マリッジリング』のようなウェルメイドな劇映画を監督する一方で、美術館製作のアート映画『ホッテントットエプロン-スケッチ』、黒田育世のダンスを撮ったクラムボンのPV『Aspen』など異色の作品を発表。中でも、人の姿が映らない声の映画『眠り姫』は2007年の公開後7年以上アンコール上映が繰り返されている。2012年完成の建築家鈴木了二との短編『DUBHOUSE』は2013年、ロッテルダムを皮切りに海外の映画祭を席巻、25FPS国際映画祭ではグランプリと審査員特別賞をダブル受賞した。現在、連作短編『To the light』と〈音から作る映画〉という二つの新プロジェクトを進行中。http://keishichiri.com/jp/



松井 茂 Shigeru Matsui 詩人
1975年東京生まれ。詩人、情報科学芸術大学院大学(IAMAS)准教授。詩集に『同時並列回路』『量子詩』『オルガ・ブロスキーの墓』(Aloalo International、2006)『音声詩 時の声』(photographers' gallery、2010)など。編著に『虚像の時代 東野芳明美術批評選』(河出書房新社、2013)『日本の電子音楽 続 インタビュー編』(engine books、2013)。論文に「今野勉 ラディカルなテレビ表現をするレジスタンス」(『放送研究と調査』、2015)など。展覧会の監修に「磯崎新 12×5=60」展(ワタリウム美術館、2014)など。 http://www008.upp.so-net.ne.jp/methodpoem/



山本一彰 Takaaki Yamamoto
1991年東京都台東区生まれ。専門は計算機科学と応用数学。計算を主題とした作品を制作している。「算道」により平成27年度[第19回]文化庁 メディア芸術祭 アート部門 新人賞を受賞。http://www.monophile.net




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